筋トレするとわがままでイライラした孤独を愛する人になるのか?

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「人にしてもらいたいと思うことを人にしなさい。」

 

この言葉は、人に優しく・寛大で・協力的で・思いやりのある行動を取るための必要なことである(とされている)。

 

誰もが他人に優しく、共感力があり周囲から信頼される人間でありたいと思うが、脳科学の研究により人に共感をもたらし、社会的に協力する”優しい人間”になるためには”オキシトシン”という物質が大きく関係しているそうだ。

 

 

人間にはオキシトシンと対になる物質「テストステロン」があり、競争と共感のバランスをとることで人類は現在まで発展し続けている。

 

 

テストステロンによって筋肉の量が増え、骨の密度を高め、運動の能力を向上させる大事な働きを持っている一方で、ヒトを競争的にし、罰し、思いやりにブレーキをかけ、群れよりも孤独を愛する傾向を強めると言われている。

 

 

テストステロンは加齢やストレスが原因で減少するが、テストステロンを増やすためには、適切な栄養補給・筋トレ・適切な睡眠が必要とメンズヘルスクリニックのHPなどでも公開されている。

 

 

栄養補給や筋トレ後の充分な睡眠は筋トレによる筋肥大には欠かせない行動であるが、テストステロンが減少していく30代以降の男性が筋トレなどによる運動と食事で減少していくテストステロンを補うのは問題なさそうだが、20代の健康なテストステロンがたくさん分泌される年代の男子が筋トレをしてさらにテストステロンを増やしてしまった場合、テストステロンの悪い面である孤独を愛し攻撃的になり、共感力を失った最低の人間を筋トレは作ってしまうのだろうか?

 

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最初に言っておきたいことでもあり、この記事の結論ともいえることだが、テストステロンは男女ともに持っているホルモンであり、男性のほうが10倍多いと言われている(男性のほうが筋肉がつけやすい理由のひとつ)が、男性は常にテストステロン値が高いわけではなく、オキシトシンとテストステロンがその場の状況に応じてどちらが優位になるのかが変わるため常にテストステロンの影響だけを受けるわけではない。

 

 

普通に生活をしている人であれば大抵はオキシトシンの影響を受けて善良で優しい人間である。

 

 

 

問題なのはオキシトシンが優位になるような環境に全くなく、常にテストステロンが優位に働くような環境で生活している人は、その状況自体に変化が必要かもしれないということだ。

 

 

 

しかし、環境自体を変えるのは難しいので、少しでもオキシトシンが優位になるような行動を積極的に普段の生活に取り入れてみることも有用かもしれないということが、今回の記事の大まか主旨となる。

 

 

オキシトシンが優位にたちがちな環境や状況として例えば、中間管理職で常にストレスを抱えている・厳しい競争に勝ち続けている人などはテストステロンの影響を強くうけている可能性がたかく、両親が喧嘩ばかりしていて愛情をうけずに育った虐待を経験した人はオキシトシンを産み出す受容体そのものが少ない場合もある。

 

 

このような状況では常にテストステロンが優位にたち、オキシトシンによる共感力が発揮されない状況にある可能性が高い。

 

 

では、環境によってテストステロンが高まるケースではなく、テストステロンの加齢による減少が影響しないであろう10代や20代の若者が、テストステロンを高める行為の1つである筋トレをして筋肉量を増やすと、テストステロンが優位に働き性格が攻撃的になり日常生活に悪影響を与えるのかどうかである。

 

 

僕が今回参照にした本からある実験の例を引用する。

  

経済は「競争」では繁栄しない――信頼ホルモン「オキシトシン」が解き明かす愛と共感の神経経済学

経済は「競争」では繁栄しない――信頼ホルモン「オキシトシン」が解き明かす愛と共感の神経経済学

 

 

 

アンドロジェルを2週間にわたって毎日同じ時刻に肩に塗り込んだ。中略、その後2週間は毎日翌朝は19歳に戻ったような感じで目覚めた。毎日スポーツジムで運動をしまくった。睡眠時間も短くて済み、高校のフットボール選手だったころ同じ生意気な自信をみなぎらせて走り回った。自分の子どもたちと親密に接する能力に影響はでなかった。誰が相手でも違いは感じられなかった。誰とも喧嘩をしなかったし、駐車場のスペースを巡って誰かを怒鳴りつけること無く実験を終えられた

「経済は「競争」では繁栄しない」P131より

 

 

この実験は著者自らが実験台になったあと、若い男性を募集し重量上げの選手のようなスポーツマンをたくさん集めて実験を行った。

 

彼らは実験のためにテストステロンレベルを最大になるようにコントロールされ、その状態で”信頼”がキーワードとなる「最後通牒ゲーム」というゲームをやらされる。

 

 

その結果は、共感を経験しづらくなるというものであり、その他の特徴として目を合わせなくなったり、自分を信頼しないものへ仕返しをしたくなる、勝ちにこだわる、他者に敗北したことを思い知らせたくなるそうだ。

 

 

テストステロンは必要なのか?

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テストステロンは悪者ではない、むしろ男性にとって必要なものであり、このホルモンを含む男性ホルモンは、加齢によってだんだんと減少していくが、男性ホルモンが減少することで男性にとって深刻な問題が発生する可能性が高まる。

 

 

主な影響は以下の3つだが、独立した事象ではなく相互に関係がある点にも注意。

 

 

1つ目、男性の更年期障害を発生させる大きな要因だと考えられていること

2つ目、テストステロンンの低下と肥満には相関があると考えられていること

3つ目、血管の健康維持と関係があると考えられている。

 

 

男性の更年期障害における代表的な症状は女性のほてりなどよりも、不眠や集中力低下、不安やめまいなど鬱と似たような症状がでるのでQOL(生活の質)が下がってしまう。

 

 

そしてこれがこの記事の本題でもある「テストステロンが増えると攻撃的になるのか?」については、ステロイドを投与し、普通の筋トレなどでは到底たどり着けないほどの筋肉量を獲得した人の精神状態攻撃的・獰猛な人格になるのかを調べた調査がある。

 

ステロイドを投与された結果精神に何らかの異常をきたす可能性は5%であり、統計的な優位は見られないという記事がネットにあったので、その記事が参照にした調査結果を引用します。

 

http://jamanetwork.com/data/Journals/PSYCH/11804/yoa8259t4.png

 

引用: http://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/fullarticle/481565

 

 

アナボリックステロイドを服用してトレーニングをしている方のブログを拝見したが、ステロイドで性格が変わった実感はないが、ガリガリだった自分の体が大きくなるにつれ自信とともに気持ちも大きくなったと書かれている。

 

 

ステロイドによる大量テストステロンの投与は副作用として攻撃性やいらだちなどを引き起こす可能性はある。

 

 

しかし、筋肉をつけて体型が変化することによって引き起こる性格の変化がどこまで薬の副作用と呼ぶべきものなんかは微妙だなというのが個人的な感想である。

 

 

僕が調べた限りでは20代の若者が普通にトレーニングをして筋肉量を増やしても、性格が攻撃的になるほどテストステロンの影響を受けるとは考えづらい。

 

 

体型へのコンプレックスの度合いによってはトレーニングで体型が変わることにより性格の変化が起こる可能性があるが、それは自信がもたらす性格の変化であり一概に問題があるとはいえない(むしろ良い変化だと僕は思う)。

 

 

何度も言うようだが、問題なのはテストステロンが常に優位にくるような生活習慣であり、環境が問題であり、その環境がもたらすテストステロン優位の状態がもたらす影響に気がついていないことが問題である。

 

 

ステロイドを常用すれば、テストステロンの悪い部分の影響を受ける可能性はあるが、通常の筋トレによるテストステロンの上昇で攻撃性が増えるなどの悪影響があるとは考えづらい。

 

 

僕達にはテストステロンのもつ競争心や何かを始める勇気などいわゆる”男らしさ”も必要だし、テストステロンがもたらす健康効果もQOLを高めるために必要なことだ。

 

必要なことだが過度な競争にさらされる仕事や、人間関係がもたらすストレスや孤独はテストステロンを減少させる原因になるだけでなく、オキシトシンが働くべき場面でもテストステロンが優位に立つ原因となり得る。

 

 

テストステロンを正常値前後に保ち続ける努力である、運動・栄養・睡眠に加えて僕達はオキシトシンが分泌されることとは一体どんな効果があり、どのような行動によるものなのかを知っておくべきだ。

 

オキシトシンを分泌させる行動とは

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冒頭で優しくなるための黄金律を紹介したが、これは人類が協力し個人では為し得ないことをするために必要なことを簡潔にまとめた言葉である。

 

 

僕たちは哲学者から理性の力を学んだり、神学から神や預言者の言葉を学ぶことで黄金率を腑に落としてきたが、自由意志や徳に関する議論は神学者や哲学者の領域から、徐々に脳科学の領域に移行しつつある。

 

 

人に優しくするための信頼ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」は、体内の化学物質単体で作用がするわけではないし、オキシトシンだけが人間の優しさや共感を産む原料ではない。

 

 

当然ながら本人の人生経験に由来する要因もある。

 

 

様々な実験によって通常の人であればオキシトシンが分泌され利得を他人と進んで分配する傾向が強い状況でも、生まれつきオキシトシンを分泌する器官に障害をもっていたり、後天的にその作用が低下する行動の影響を受ける(例えば親からの虐待などのよるトラウマやドラッグ)と利得を分配しない傾向が高まる。

 

 

何千年も前から人間が考え続けてきたテーマの1つに「善」があるが、「善」についての問題の中に”ヒトはなぜなぜ他人ために行動できるのか?”という疑問がある。

 

 

1つの答えとして、お互いの利益になりそうな共通利益の感覚を暗黙のうちに「なんとなく」感じ取れるから僕達は社会に適合して生きている。

 

僕たちは原始時代のように食うか食われるのかという時代とは違って、生まれながらにして社会と関わりをもって産まれるために環境的に”協力して生きていく”ことが当たり前であり、守ったほうがメリットが大きそうな法律や社会的な通念などの約束事を守ることを前提として生きている。

 

 

この約束が「お互いの利益になるかどうか不明な場合」における利他的な行動に必要だと考えられてきた。

 

 

さらに脳科学の研究や行動経済学などがによって「損失回避」と「与える喜び」を感じる部位が発見された。

 

 

「与える喜び」としては、オキシトシンが不安を和らげるセロトニンと脳の報酬を得るために繰り返すドーパミンという2つの快楽神経化学物質を分泌させることがわかっている。

 

  

人にやさしくしたり、親切にすることが健康や幸せにつながることは直感的に理解できるがちょっとした親切(席を譲るとか、道を聞かれて教えるとか、募金とか)を他人にした日はたとえそれが自己満だとしても気分がよくなる体験をしたことがある人はこの物質の効果がなんとなく想像できるかもしれない。

 

 

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具体的にオキシトシンはどのような行動をすると高まるのだろうか?

 

 

最も簡単な方法は会話直接触れ合うこと。(日本人には馴染みがないが、参考にした著作によれば「ハグ」は最強の行為であり、ハグをしてもよいかと相手に聴くだけで警戒心が溶けるそうだが、ハグ文化のない日本で同様の効果があるのかは不明)

 

 

誰かと話すこと、つまりコミュニケーションにおいて過去から変わらず最も必要とされてきたことは社会に関することである。

 

 

といっても難しい政治や哲学の話ではない、ゴシップやスポーツがそれに当たる。

 

 

いまでもテレビの話題や芸能人のスキャンダル、事件などを扱う産業が巨大なのは、単純に私達にとって必要だからだ。

 

 

しかし、これらのゴシップや会話はもはや対面でする必要がなくなった。

 

 

僕達にはSNSがある。

 

オキシトシンはSNSの利用でも分泌する

 

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SNSを普通に利用するだけでオキシトシンレベルが上がることが実験でわかっている。(参照:経済は「競争」では繁栄しないより)

 

さらに注目すべき点は特定の個人に、それも関係が近ければ近いほど分泌レベルが上がる。

 

 

家族や恋人のフェイスブックに書き込む行為はオキシトシンレベルを急激に上げる。(本の実験では150%も上昇、通常のSNS利用は10~13%)

 

SNSなどの利用はメリットだけがあるわけではない。

 

ツイッターやフェイスブックだけでなくオンラインで僕達は様々な情報を取り入れ、発信することが可能になったが、ネットで取り込める情報はフィルターが掛かっておらず何が真実かそうでないかが不明なため、自分の信じたい・見たい情報しか取り込むことができない。

 

 

またオキシトシンは関係が近ければ近くなるほど信頼感が生まれやすいが、日本のネットは匿名性が基本となっているので、匿名の人が書き込んだ情報をみたり、匿名の人に向けてつぶやくことでどの程度オキシトシンが上がるのかはわからない。

 

会話以外のオキシトシンを増やす行動 

 

SNSの利用だけでなくオキシトシンが増える可能性のある行動を簡単に紹介すると

 

・音楽とダンス(日本の盆踊りは最高のツールなのかもしれない)
・瞑想
・男女共にゴシップ(性についての噂話が人間は昔から大好きらしい)、男性はスポーツ観戦(をしながら選手や行動と同調すること。例えば競馬をみているとみんな前傾姿勢になるし、サッカーならシュートがはずれれば選手同様ファンも天を仰ぐ)
・ハグ
・マッサージ(するのもされるのも同様)
・信仰心
・他人の苦悩を知覚する

 

 

 

 僕達人間は群れをなす生き物であり、つながりを求めている。

 

だからといってただつながりを求めるだけではなく、競争も僕達には必要だが、この2つのバランスを保たなければいけない。

 

 

ビジネスの世界で生き抜くためには競争心と心身ともに強靭な肉体を保つためにもテストステロンを減らさないことも求められるかもしれないが、つながりを他者との間に作り関係を作り社会的に生きていくことも求められる。

 

 

 

筋トレやウォーキングやランニングなどのトレーニングやダイエットは一人でもできる。

 

 

でも誰かと一緒にやったほうが楽しいし長続きするし、より効率よく続けられるはずだ。

 

 

そのためには現実の世界で一緒に行動する友人や家族がいるほうがよいが、SNSはその代わりを努めてくれる可能性を持っている。

 

 

 特にトレーニングはインスタでコミニュティを作りやすいので、モチベーションの維持に役立つと思う。

 

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