ストーリーは神話をパクるのではなく体験を伝えてオリジナルに

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はてなブログTOP頁(2016年7月17日時点)にメンタリストとしてテレビでよくみかけるDaigoさんが「マーケッター向けに行われた『THE MARKETING NATION SUMMIT 2016』」で講演をし、そこで話された心理学テクニック、”特にストーリーの組み立て方みたいな部分(原文ママ)”はとても役に立つんだという記事が人気エントリーになっています。(http://www.satouwataru.com/entry/daigo-presentation

 

その記事には”DaiGo氏がコンテンツライター&マーケッター向けにおすすめする著書”(原文そのまま)として5冊の本+Daigoさん自身の本が紹介されています。

5冊の本とは以下の本です。

・神話の力(ジョーゼフ キャンベル

・千の顔を持つ英雄ジョーゼフ キャンベル

・英雄の旅 ヒーローズ・ジャーニー 12のアーキタイプを知り、人生と世界を変える(キャロル・S・ピアソン

・物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術(クリストファー・ボグラー

・ベストセラー小説の書き方(ディーン・R. クーンツ)

僕はこの5冊はすべて読んだことがあります。

この5冊を読んで物語論(ストーリーの作り方)を勉強するにあたって、注意するべき点が一つだけあります。

 

それは、最初に読むべき本が決まっているということです(あくまでも上記5冊の中から選ぶとしたら、、ですからね。)

 

 

必ずクリストファー・ボグラーの本「物語の法則」から読んでください(僕は”物語の法則”よりも前作の”神話の法則”をおすすめしますが、神話の法則は絶版なので手に入りにくいかもしれませんし、値段も高いです。)

 

理由は単純です。

映画のストーリーを解説しながらストーリーの核心を説明しているため読みやすく、参考にしやすいからです。

 

逆に絶対に最初に選んではいけない本があります。

それは、キャンベルの「神話の力」から読み始めることです。

この本は対談形式の本になっているので要点を掴みづらいですし、神話自体に馴染みがない場合何を話しているのかもわからない可能性があります。

キャンベルが神話を研究し、神話から「伝える」ための物語の原型を作り、その原型をジョージ・ルーカスがスターウォーズ4・5・6にほぼそのままの形をはめ込み映画を製作したことでキャンベルの功績自体も神話化しました。

物語論だけでなく、その道の第一人者の本を読むというのは常に正しい選択ですが、本に慣れていない人や初めて触れるジャンルの本を読む場合は、第一人者の難解な専門書よりもビジネス書レベルにまで落とし込んでくれている入門書ともいうべき本から読んだほうが理解が早い場合があります。

ボグラーの本はその意味で誰にでも読みやすい入門書であり、専門書ではなくビジネス書レベルの読みやすさなので、最初に読むのに適しています。

※神話の力はストーリーを学べるだけでなく、人間のもつ普遍性について語られている本なので「生きる」とは何かというテーマで読むこともできる名著です。

 

ボグラーの著作はキャンベルが神話を研究し人びとがもつ普遍的な要素を抽出し、さらにユングの深層心理を加えた「ヒーローズ・ジャーニー」をライター向けにアレンジした映画の世界用(主にハリウッド映画)に作りなおした物語論がボグラーの「神話の法則(絶版)」であり、その後継本である「物語の法則」です。

 

神話で物語論を説明されるよりは映画のほうがストーリーに馴染みがある人が多いはずなので理解し易いはずです。

 

またボグラー自身が「実用書」と位置づける本ですので、読んですぐに何かに応用することを可能にするため、物語論の基本の型をしっかりと説明してくれています。(「神話の法則」ならばスターウォーズやタイタニック、ライオンキングがケーススタディとして取り上げられ詳察されています。物語の法則ではキューティブロンドが頻出します。)

あまりにもよく出来た物語の「型」をボグラー(キャンベルもです)は提示しています。

 

当然「型」を提供することに対して反対意見がでます。

 

簡単にいえば量産型のストーリーがたくさん産まれるだろ!!という批判です。

ボグラーは「神話の法則」著書内で重要な反対意見を挙げ、その上で以下の答えを本の中で書いています。

本書のアイデアが物語の創作を公式化し新鮮味のかける作品を量産してしまうのではないかという芸術家や批評家の懸念である。私たちは「神話の法則」の原則について理論と実践をどう分けるのかを考えなければならない:神話の法則より

物語のバリエーションは人種・文化・時代の数だけ無限にあるが、原型であって公式ではない!!「理論」と「実践」は異なるということです。

 

ボグラーの「神話の法則」か「物語の法則」を一冊読めば、人に何かを「伝える」ための文章構成・ストーリーの基本となる型を十二分に学ぶことができます。

 この型をドラマや映画に当てはめてみてみればいかにこの型通りの展開になるのか確認できるのでぜひやってみてください。

僕のおすすめは恋愛系のドラマを型にあてはめて分析してみることです。

 

例えば、10話のドラマだとして、何話目で主人公は冒険にでて、ライバルがいつ登場して、最初の宝をいつ取得して、それをいつ手放して、そして最終的にどんな人生の宝を発見し、元の世界に変えるのかという視点でドラマを分解して型に無理やりでもいいので押し込んでみる方法です。

 

ボグラーの著作だけで物語論を完結させるのではなく、ボグラーを足がかりにキャンベルの本を読んだり、神話自体(ギリシャ神話と日本の神話である古事記を比較するのは面白いと思います)を読んでみることをお勧めします。

 

次に僕にとっての物語論とは何かを手短に説明するとともに、基本となるボグラーの型に僕が考える物語論に加えるべきものを紹介します。

物語とは何か

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物語とは手段です。

何のための手段か、それは人に自分の思いを「伝える」ための最も効率良い方法の一つであるということ。

 

伝えるべきものとは「テーマ」であり、主張と言っても良いと思います。

 

物語はテーマに文脈を与え、だれかを「あなたの世界」に引き込むためのリアリティを作ります。

 

物語は記憶しやすく、思い出しやすく,何かしらを鼓舞する特徴がありますが、そのために必要なのは「これは●●についての物語です」と人に話せるレベルにまで、物語における●●の部分を煮詰めなければなりません。

 

その基本となるのが”変化”です。

 

物語は主人公が冒険にでて困難に打ち勝ち、財宝を得るのが王道ですが、そのためには主人公は今いる世界から別の世界に移動しなければいけません。

最もわかりやすい例として神話の法則にも書かれていますが「タイタニック」の例を紹介します。

 

タイタニックには二人の主人公がいます。

 

ジャック(ディカプリオ)ではなく、ジャックに恋するローズ(ケイト・ウィンスレット)と、現代の世界に生きるタイタニックを引き上げようとする科学者でもある冒険家の宝探しのプロです。

この冒険家が得た宝が物語論における真の宝を良く表しています。

彼がタイタニック号を引き上げる目的は青い大きなダイヤモンドという財宝を得るために引き上げようとしていましたが、彼が得たのは財宝ではなく年老いたローズが語る悲劇を追体験することで得た「真の冒険家としての志」です。

タイタニック号が沈んだ場所は荒らしてはならない神聖な場所であり、人生にはお金には変えられない大切なものがある、という真の財宝を得ます。

 

もちろん財宝を得ることも物語の型に存在しますので、その事自体は問題ではありませんが冒険はそこでは終了しない(通常はそのご最大の試練が訪れます)ことがポイントなんですが、まずはその真の宝を得るために何をしなかればならないのかについて考えてみましょう。

型を学んだらまずは使う

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キャンベルがまとめてくれた「ヒーローズ・ジャーニー」やボグラーが「神話の法則」でまとめた”ライターズジャーニー”の型自体は非常に単純です。

簡単に物語における型を説明します。

基本は「行って」「帰る」、冒険に出る→帰ってくるという型です。

子供用の絵本などに見られる型で、単純ですがこの要素がなければ物語は成立しません。

さらにこれに準備が加わって3つの段階が基本的な型となります。

「準備」「旅」「帰還」の型に様々な要素が加わり物語論は構成されます。

準備している段階では必ず「拒絶」や「賢者との出会い」があり、旅には「通過儀礼」があり、帰還では「宝」を得ますが、大切なことは神話などにおける旅の目的である宝は何かを学んで「新しい自分」を発見しあなたにとっての人生の意味を発見することにあります。

 

ちなみに、教訓を得たのにそこから学ばずに同じ失敗をするというのがコメディの基本です。

ストーリーの型は非常に単純で、映画や連ドラなどは展開がそのままこの型を使っていると思われる作品もあります。

しかし、型を学んですぐにDaigoさんのように人の心理状態を見ぬいて自分の思っている通りの行動させるとか、型をつかって人が共感するストーリーを作れるような気がしてしまいますが、いきなりは無理です。

 

僕はまず自分の現状にストーリーの型を当てはめた方が理解が早いと思いますし役に立ちつと考えています。

 

型を学び、その型に自分の人生や取り組んでいるビジネスに当てはめることで自分が旅のどの地点まで来たのかがわかるからです。

 

ストーリーの型を極端に簡素化して説明する大まかに10個前後のステージあります。

 

そのステージのどのあたりに今自分がいるのかがわかれば、次に何が起こるのか予測することができます。

 

例えば「物語の法則」でボグラーは、最初に神話の法則の原型を人びとに配ったときのことを紹介しています。

彼の覚え書きともいえる7ページの文章は、反響を呼び多くの人が話題にするなか盗作が現れたそうです。

盗作されるという普通なら慌てるような場面でもキャンベルは冷静にこれは自分が書いた物語論におけるどの場面が現実のものになったのかを理解し、次に何が起こるのかを物語の型から予測し、自分が何をしなければいけないかを判断することができたそうです。

 

結果、これは型における”試練”にあてはまるので克服するためには大胆な行動に出る必要があると判断し、それを実行したという経験を「物語の法則」に書いています。

 

報酬をえるためには主人公は試練をパスしなければいけないということだそうです。

このように、これからどんなことが起きるのかヒーローズ・ジャーニー(物語の型)に当てはめれば、未来が予測でき準備ができます。

 

また誰に何を伝えるのかも明確になります。

型を学んでようやく準備の段階を経て冒険に出た人は、準備の段階をむかえようとしている人に向けて発信(旅への誘い)できますが、旅を終えて帰還しようとしている人に向けては何かを発信することはできません。

あなたはまだ何もしていなけど何かをしたい人にむけて、1歩踏み出した世界はどんな世界なのかを語ればいいだけです。

 

ヒーローズ・ジャーニーは人間が普遍的に共感できる要素を集めたものなので、最終的に人間が獲得できる宝とは何かを教えてくれます。

型を学ぶと気がつく大事なことは旅にでれば必ず難関がやってきて、それを乗り越え得た最初の財宝は、見せかけの財宝だということです。

真の宝に出会うまでもう少し旅は続きます。

 

ビジネスでいえば成功してお金持ちになることでしょうか。

 

お金を稼ぐのが目的なのではなく、そのお金を使ってあなたが何をするのかが重要だということです。

 

これは物語論の終盤をざっくりと紹介したものですが、このくだりだけでも物語論を知る価値はあるのではないでしょうか?

経験を語る

 

僕は人から共感を得るための重要な要素に、自分の経験から得たことを伝える必要であると考えています。

先ほど物語とは「主張やテーマを伝えるための手段」と書きましたが、このテーマや主張は経験を通じたことでないと人に伝わる”言葉”を選ぶことができないと考えています。

物語の型は人を扇動して自分の思い通りに動かすためのトリックではありません。

ボグラーの著者「物語の法則」は実用書であり、”私達が頭の中で使うためのツールキット”(物語の法則より引用)です。

 

・求めるものリスト

・キャラクターの代数方程式

・両脚の対立

など、すぐに使えるツールがたくさん紹介されています。

大事なことなので、もう一度かきますがボグラーは”物語の創作を公式化し新鮮味のかける作品を量産するために神話の法則や物語の法則を出版したわけではありません。

理論をそのままその通りに実践すれば全員同じ内容になってしまいます。

差別化できるポイントは個人の経験という絶対に人と被らないものを物語に落としこむこと。

この視点をもって神話や、神話を元にして造られた「ヒーローズ・ジャーニー」を読んでほしいなと思います。

おまけ:物語の型

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参考までに、僕が意識している物語の型は以下の5つです。

1.挑戦の物語
2.絆の物語
3.創造の物語
4.対比の物語
5.発見の物語

さらに補足ですが、Daigoさんがおすすめした書籍5冊のなかで「ベストセラー小説の書き方」は神話とは関係がなく、小説(ノンフィクション)に特化しているので他の4冊とはちょっと内容が違う本だと僕は思います。

プロットの作り方とか、ヒロインやヒーローなど主人公の作り方、動機付けなどは非常に参考になると思いますが、あくまでも小説の主人公という点には注意が必要です。

 

神話から学んだストーリーテリングというイメージをもって本を読むと、イメージと違うような印象をうけるかもしれませんのでご注意ください。

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